源泉徴収簿で行う年末調整1.源泉徴収簿の見方・書き方・フロー
所得者本人が準備する申告書や添付書類に関しては、前回までにすべて説明しました。今回からは、勤務先がそれらの提出資料をもとに年末調整の計算を行う手順を解説いたします。
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2022年(令和4年)分の所得税の確定申告の申告期間は、2023年(令和5年)2月16日(木)~3月15日(水)です。最新版の確定申告の変更点は「2023年(2022年分)確定申告の変更点! 個人事業主と副業で注目すべきポイントとは?」を参考にしてみてください!
目次
ここではまず、年末調整の計算をするための源泉徴収簿について説明していきます。源泉徴収簿は従業員1人につき1枚を用います。
- 【参考】
- 源泉徴収簿の入手先
源泉徴収簿の全体像を理解する

(1)給与と賞与の年間支給額を集計する
毎月の給与明細及び賞与明細に記載されている支給額等を1月から12月まで転記し、集計します。そして、給与及び賞与の支給額と支給額から控除した社会保険料及び税額の合計額を源泉徴収簿の右側の該当欄に記載します。
(2)給与所得控除後の給与等の金額を求める
給与所得控除後の給与等の金額の表に、⑦で集計した給与等の金額を当てはめて、給与所得控除後の給与等の金額を求めます。その金額を源泉徴収簿の⑨給与所得控除後の給与等の金額欄に記入します。
次に、所得金額調整控除申告書の提出がある場合には、⑩所得金額調整控除額を同欄に記載される式に沿って計算し、記入します。そして、⑨の金額から⑩の金額を差し引いて求めた金額を、⑪給与所得控除後の給与等の金額(調整控除後)に記入します。
(3)扶養控除等(異動)申告書から扶養情報を記入する
扶養控除等(異動)申告書から扶養親族の人数等を記入して、⑱扶養控除額及び障害者等の控除額の合計を記入します。
(4)基礎控除申告書から控除額を記入する
基礎控除申告書で計算した基礎控除額を源泉徴収簿の⑲基礎控除額に記入します。
(5)配偶者控除等申告書から控除額を記入する
配偶者控除等申告書で計算した配偶者控除額もしくは配偶者特別控除額を源泉徴収簿の⑰配偶者(特別)控除額に記入します。
(6)保険料控除申告書から記入する
保険料控除申告書から⑬申告による社会保険料の控除分と⑭申告による小規模企業共済等掛金の控除分を記入します。⑮生命保険料の控除額と⑯地震保険料の控除額も記入します。
(7)所得税額を求め、住宅借入金等特別控除額を控除して年調年税額を求める
上記(2)で求めた⑪給与所得控除後の給与等の金額(調整控除後)から⑳所得控除額の合計額を差し引いて㉑課税給与所得金額を求め、算出所得税額の速算表により㉒算出所得税額を計算します。
この㉒算出所得税額から㉓(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額を差し引いて㉔年調所得税額を求めて、それに復興特別所得税を加算して㉕年調年税額を計算します。
(8)超過額または不足額を求める
㉕年調年税額と(1)で集計した⑧年間の源泉徴収税額を比較して、㉖差引超過額又は不足額を求めます。
源泉徴収簿における年末調整のフロー
※上記図版に記載された№は、源泉徴収簿に記載されている№と一致します。
- 年末調整により従業員から所得税を徴収するケースはあるのか?
- Q.年末調整をすると、従業員は払い過ぎていた税金を戻してもらえる、という認識でいますが、逆に従業員が追加で払わなくてはいけないケースはありますか?
A.税金が追徴されるケースは、大きな昇給や多額の決算賞与等で年の途中で年収が急激に増加したり、子供が扶養から外れたのに会社に申告していなかったりしたときです。年の途中まで源泉徴収していた税金が少なかったために、追加で税金を支払うことがあります。
知っておきたい基礎知識|年末調整|まとめINDEX
- 年末調整とは?
- 年末調整と確定申告の違い
- 年末調整ができる人・できない人
- 年末調整はいつするのか?時期や期間について
- 年末調整のポイントは各種申告書の正確な記入
- 年末調整の扶養控除等申告書とは?目的とマイナンバーとの関係
- 年末調整の扶養控除等(異動)申告書の書き方
- 年末調整の基礎控除・配偶者控除等申告書・所得金額調整控除申告書の書き方
- 年末調整の保険料控除申告書の書き方
- 年末調整の住宅借入金等特別控除申告書の書き方
- 源泉徴収簿で行う年末調整1.源泉徴収簿の見方・書き方・フロー
- 源泉徴収簿で行う年末調整2.毎月の給与と賞与の記入
- 源泉徴収簿で行う年末調整3.各種控除額を記入し所得税額を確定
- 源泉徴収簿で行う年末調整4.過不足額の精算
- 源泉徴収簿で行う年末調整5.納付書の書き方と年末調整のやり直し