年末調整の扶養控除等申告書とは?目的とマイナンバーとの関係
年末調整を行うためには、扶養控除等(異動)申告書(以下、「扶養控除等申告書」といいます)が勤務先に提出されていることが前提になります。扶養控除等申告書は勤務先が作成するのではなく、従業員が記入して勤務先に提出するものです。毎月の給与計算にも影響を与える申告書ですので、従業員にはタイムリーな提出を心がけてもらいましょう。
[おすすめ]「弥生の給与計算ソフト」なら目的や業務別に選べる!まずは無料体験
目次
提出時期
扶養控除等申告書は、原則として本年最初に給与の支払いを受ける時までに勤務先に提出することになっています。つまり、1月の給与の前に提出するのが原則です(通常は前年末に提出してもらっています)。その理由は、次で説明する給与計算に影響するからです。
扶養控除等申告書は、給与計算で必要
毎月の給与計算において、源泉所得税を控除しますが、扶養控除等申告書が提出されている人については給与額と社会保険料と扶養人数によって源泉所得税を求めます(これを甲欄の所得税といいます)。
一方、扶養控除等申告書が提出されていない人については、扶養人数を一切考慮しない高額な源泉所得税が徴収されます(これを乙欄の所得税といいます)。
2カ所以上の勤務先から給与をもらっている人は、主たる勤務先に扶養控除等申告書を提出すると、他方の勤務先にはこの申告書を提出できませんので、そこでは高額な乙欄の所得税が徴収されるのです。
扶養親族の人数が変わったときは異動申告をする
結婚したり、子供が生まれたり、子供が成人して扶養から外れたりして、控除対象扶養親族の数などに異動があった場合には、その都度異動申告をすることになります。給与から徴収する所得税の額が扶養人数により違ってくるからです。
本人の状況と配偶者や扶養親族の状況を記入する
扶養控除等申告書には、本人と配偶者や扶養親族の状況を記載します。
本人については、障害者であるか寡婦(寡夫)であるか、勤労学生であるかなどを記載します。配偶者や扶養親族については、障害者であるか、老人控除対象配偶者や老人扶養親族に該当するか、また、配偶者や扶養親族の年間の所得の見積額を記載します。
マイナンバーの記載
扶養控除等申告書には、本人及び配偶者、扶養親族のマイナンバーの記載が必要です。マイナンバーの取り扱いに注意しましょう。
扶養控除申告書にマイナンバーの記載を省略する
扶養控除等申告書にはマイナンバーの記載欄があるのですが、この記載を省略する方法もあります。
マイナンバーが記載された書類を預かる勤務先は、マイナンバーの漏えいに対する安全管理措置を整える義務があります。毎年提出される扶養控除等申告書などの書類にマイナンバーが記載されていると、それに対する安全管理措置が勤務先にとって負担になります。そこで、マイナンバーが記載された一定の帳簿を作成しておけば、扶養控除等申告書などの書類に、いちいち社員が自らのマイナンバーを記載しなくてもよいという制度ができたのです。
記載省略の要件として、次の事項を記載した帳簿を備え付ける必要があります。
- 本人、控除対象配偶者と控除対象扶養親族等の氏名、住所及びマイナンバー
- 帳簿の作成に当たり提出を受けた申告書の名称とその提出年月日
上記図版に記載されている2.の申告書は、所定の書式がありませんので、勤務先が独自に作成したものでも構いません。帳簿は紙に限定されず、電磁的記録による帳簿も認められています。
知っておきたい基礎知識|年末調整|まとめINDEX
- 年末調整とは?
- 年末調整と確定申告の違い
- 年末調整ができる人・できない人
- 年末調整はいつするのか?時期や期間について
- 年末調整のポイントは各種申告書の正確な記入
- 年末調整の扶養控除等申告書とは?目的とマイナンバーとの関係
- 年末調整の扶養控除等(異動)申告書の書き方
- 年末調整の基礎控除・配偶者控除等申告書・所得金額調整控除申告書の書き方
- 年末調整の保険料控除申告書の書き方
- 年末調整の住宅借入金等特別控除申告書の書き方
- 源泉徴収簿で行う年末調整1.源泉徴収簿の見方・書き方・フロー
- 源泉徴収簿で行う年末調整2.毎月の給与と賞与の記入
- 源泉徴収簿で行う年末調整3.各種控除額を記入し所得税額を確定
- 源泉徴収簿で行う年末調整4.過不足額の精算
- 源泉徴収簿で行う年末調整5.納付書の書き方と年末調整のやり直し