実務-15 外部委託を決める方法
監修者 : 宮田 享子(社会保険労務士)
番号法では、マイナンバーに関係した事務の委託や再委託などを可能としています。しかし、これまでも委託先から個人情報が漏えいする事件・事故が数多く報告されていることから、安全管理については個人情報保護法に比較しても厳しくなっています。
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目次
委託先・再委託先にも安全管理措置が必要
事業者がマイナンバーを利用する業務で、もっとも頻繁に行うのは従業員の給与や社会保障に関係した作業です。ただし、最近では、給与業務や社会保障などの業務は、外部の業者に委託する事業者も増えています。さらに、マイナンバー制度の開始に向け、マイナンバーの収集サービス、保管・廃棄サービスを提供する業者も出てきています。こうした業者の中には自社のサービスのために、一部の業務をさらに外部の業者に委託するケースもあります。
番号法では、マイナンバーに関係した事務の委託や再委託などを可能としています。しかし、これまでも委託先から個人情報が漏えいする事件・事故が数多く報告されていることから、安全管理については個人情報保護法に比較しても厳しい内容になっています。
これは、特定個人情報が一般個人情報と比較して、より取扱いを慎重にしなければならないということです。下の図にあるように、委託元の会社(自社)は、委託先ばかりでなく、再委託先、再々委託先まで含めて、自社の安全管理措置と同等の対策が委託先で実施されるよう、委託先を監督することが義務づけられています。また、再委託、再々委託については、委託元の承諾が必要となります。
委託・再委託には委託元の監督・承諾が必要
委託契約書・特定個人情報取扱いの覚書を準備する
マイナンバーを取り扱う業務を委託する場合は、委託先を慎重に選び、その後に委託契約の締結が必要です。委託契約には、次の事項を盛り込むようにしてください。
- 秘密保持義務
- 委託先の事業所内からの特定個人情報の持出しの禁止
- 特定個人情報の目的外利用の禁止
- 再委託における条件
- 漏えい事故・事件等が発生した場合の委託先の責任
- 委託契約終了後の特定個人情報の返却または廃棄
- 従業者に対する監督・教育
- 契約内容の遵守状況について報告を求める規定
必要に応じて取扱いルールを詳細に決めた「特定個人情報の取扱いに関する覚書」も委託先と取り交わします。
出典:「よくわかる 事業者のためのマイナンバーガイド」 監修:宮田享子(社会保険労務士)
知っておきたい基礎知識|マイナンバー|まとめINDEX
- 基本-1 マイナンバー制度と利用目的
- 基本-2 マイナンバーと法人番号
- 基本-3 通知カードと個人番号カードの違い
- 基本-4 マイナンバーの安全性と罰則
- 基本-5 企業のマイナンバーの取扱い
- 基本-6 マイナンバーの実務、いつから?
- 基本-7 マイナンバー対応 企業が準備すべきこと
- 実務-1 マイナンバーの担当者を決める
- 実務-2 マイナンバーを扱う業務を洗い出す
- 実務-3 特定個人情報の利用範囲を決める
- 実務-4 マイナンバーの取得から廃棄まで
- 実務-5 マイナンバーの取得方法
- 実務-6 マイナンバーの本人確認の方法
- 実務-7 取得したマイナンバーの保管方法
- 実務-8 マイナンバーの利用や提供方法
- 実務-9 マイナンバーの廃棄方法
- 実務-10 マイナンバーの安全管理措置とは
- 実務-11 組織体制を整備する(組織的安全管理措置)
- 実務-12 従業員への周知徹底を図る(人的安全管理措置)
- 実務-13 情報の漏えい・盗難等防ぐ(物理的安全管理措置)
- 実務-14 社内システムのセキュリティ対策(技術的安全管理措置)
- 実務-15 外部委託を決める方法
- 実務-16 基本方針・取扱規程を作成する
- なるほど解決!マイナンバーQ&A
- マイナンバー導入チェックリスト