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実務-5 マイナンバーの取得方法

会社でマイナンバーの取得(提供してもらう)対象者は、従業員、従業員の扶養家族、従業員以外の3つに大きく分けられます。これらの人たちからのマイナンバーの取得のタイミング、取得方法、取得後の取扱いなどのルールを具体的に決めましょう。

マイナンバーの取得対象者別に対策を立てる

会社でマイナンバーの取得(提供してもらう)対象者は、次の3つに大別できます。

  1. 従業員
  2. 従業員の扶養家族
  3. 従業員以外

3の従業員以外とは、個人事業主の弁護士や社会保険労務士、経営コンサルタント、講演や研修を依頼した社外講師、家主などです。

これらの人たちからのマイナンバーの取得のタイミング、取得方法、取得後の取扱いなどのルールを具体的に決めて、下の表のようにまとめます。

マイナンバーの取得対象者別対策表の例

マイナンバーの取得対象者別対策表の例

マイナンバーの取得で制限されること

番号法では、取得の制限を、取得する立場の者に対する提供の求めの制限と表現しています。また、「何人も、法律に該当している場合を除き、他人の個人番号の提供を求めてはならない」と条文に書かれています。つまり、現在の法律では、事業者が従業員などに対し、マイナンバーの提供を求める(提出してもらう)ことができるのは、社会保障、税に関する特定の目的だけです。

たとえば、事業者が給与の源泉徴収事務を処理する目的で、従業員に対してマイナンバーの提供を求めることができます。しかし、従業員の営業成績を管理する目的で、マイナンバーの提供を求めることはできません。また、従業員が個別にマイナンバーを集め、データベースを作るなどといったことがあってはならないので、すべての従業員に対しても徹底が必要です。

なお、余談ですが、前述の条文の中での他人とは「自己と同一の世帯に属する者以外の者」を意味します。たとえば、法律に該当する目的でなくても、親は同居している子どもにマイナンバーの提供を求めてよいことになります。こうした「取得」に関する制限をきちんと社内規程などに記述し、従業員に知らせておくことも必要です。

マイナンバーの収集制限

従業員などからマイナンバーを取得する行為が、番号法での収集になります。これは、マイナンバーを記入した書類を提出してもらうことだけではありません。

たとえば、事務取扱担当者が、従業員から聞き取ったマイナンバーをメモしたり、パソコンの画面に表示されたマイナンバーを書き写したり印刷したりすることもあるでしょう。こうしたことも収集行為になります。そのため、決められた業務以外では、マイナンバーの書き写しや印刷などをしないよう注意が必要です。

では、事務取扱担当者以外は、マイナンバーを見聞きしてはいけないのかという疑問も出てくることでしょう。担当者でなければ何もできないとなると、担当者の負担が増えるばかりです。そのため、事務取扱担当者以外による、補助的な作業者の支援が認められています。

たとえば、講演料支払いのため、マイナンバーを記入した書類を講師から受け取る人と、支払調書作成事務の担当者が別の場合があるでしょう。この場合は、受け取る人は、マイナンバーの本人確認などをして、事務担当者にできるだけ速やかにその書類を渡すようにします。速やかに渡すことによって、受け取る人は「収集」を行う立場ではないという解釈になります。つまり、マイナンバーの提示を受けただけであれば、「収集」に該当しないことになるのです。なお、事業者は、補助的な作業者についても監督責任がありますので、業務の実情をよく把握しておく必要があります。

従業員には特定個人情報の利用目的の明示が必要

マイナンバーを従業員から取得するときは、法律で認められた利用目的の範囲で用いるということを、従業員に対して通知または公表することが必要です。

通知や公表の方法として、次のようなことが挙げられます。

  1. 社内への公開
  2. 書類で本人へ通知
  3. 就業規則への明記
  4. 上記の組合せ

なお、個人情報保護法と異なり、番号法では利用目的の通知をすればよく、「本人の同意」はいりません。

会社は、一般的に源泉徴収や年金・医療保険・雇用保険など、複数の目的でマイナンバーを使うので、利用目的をまとめて示すことも可能です。ただし、一度明示した利用目的以外のことでは、マイナンバーは使えません。利用目的を追加する必要がある場合は、その利用目的を加えて、あらためて利用目的の通知や公表をし直す必要があります。従業員への通知内容については、マイナンバーの利用や提供方法で紹介している「従業員へのマイナンバー利用目的の通知例」を参考にしてください。

従業員からマイナンバーを収集する

従業員からのマイナンバーの収集は、業務で必要になったときに、そのつど行う方法もあります。しかし、収集作業を早めにまとめて完了させ、マイナンバーの保管・管理を実施した方が、のちのちの事務が煩雑にならないでしょう。会社からきちんとアナウンスをして、早めにマイナンバー制度に慣れさせることも、従業員の意識づけになります。

従業員にはパートやアルバイトも含まれます。短期のパートやアルバイトであっても、2016年(平成28年)1月以降の報酬の支払いには、マイナンバーが必要です。事務手続きが必要になってからではなく、雇用と同時に収集の目的を伝えて提出してもらうといいでしょう。派遣社員については、派遣元が手続きするので、収集の必要はありません。

収集するときは、本人確認が義務づけられているので、「本人確認」の手続きをよく把握しておきましょう。ただし、従業員の本人確認については、雇用関係にあるので、本人だということが明らかだと行政機関等が認めるときは、身元確認は不要です。

マイナンバーをいつ、誰が取得したか、本人確認をどのように行い、そのコピーを取得したかどうかといったことがらを、マイナンバー取得記録として残しておきます。

具体的には、下の図のような取得票に取得した内容を記入します。給与計算ソフトなどを使用している会社では、この取得票をマイナンバーの入力原票にするとよいでしょう。入力が終わったら、本人確認書類のコピーといっしょに保管します。

取得票は従業員本人と家族だけを記入できる単票にして、他の従業員を混在させないようにします。家族のマイナンバーの取得時期は、必ずしも従業員本人と同時である必要はありませんが、この取得票に追記していくと、管理しやすいでしょう。

マイナンバー取得票の例

マイナンバー取得票の例

出典:「よくわかる 事業者のためのマイナンバーガイド」 監修:宮田享子(社会保険労務士)

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