法人設立後に必要な届出書類
法人設立後にも届出しなければならない書類は少なくありません。口座開設の他に税務及び労務関連の届出の提出があり、業種によっては許認可関係の手続きも必要です。今回は届出を行わなければならない書類と各書類の詳細についてご紹介します。
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目次
登記以外にも手続きが必要
会社設立といえば登記が思い浮かびますが、設立後にもやるべき手続きはたくさんあります。どのような手続きを行わなければならないのかをまとめました。
登記が完了してから行うこと
登記完了後には以下の手続きを行う必要があります。すべて登記完了後に取得可能となる登記事項証明書の添付が必要なため、いずれも登記完了後に行うのです。
まず真っ先に行うべきことは会社の口座開設です。売上の入金や支払いなどで会社の口座は必須です。口座開設については、『銀行口座開設に必要なもの』で解説していますのでご覧ください。
口座開設のほかに行うべき手続きは以下の通りです。
- 許認可関係の手続き(必要な業種のみ)
- 創業融資の手続き
- 税務関連の届出の提出
- 労務関係の届出の提出
特に許認可の手続きは提出してから許可等を取得できるまでの期間が長いので、優先的に行うようにします。許認可については『許認可が必要となる業種と届出先
』で解説しています。
設備資金や運転資金の面から、事業計画書の作成や創業融資の手続きも迅速に進めましょう。創業融資については『創業融資のまとめ(日本政策金融公庫と自治体の制度融資)』で解説しています。
起業のタイミングによっては、創業補助金の募集をしている可能性もあります。創業補助金についても調べて応募可能であれば、応募の手続きをしましょう。その他の手続きもできる限り早く済ませて、本業に集中できる体制を整えましょう。
税務関連の届出
税務関連の届出は以下の通りです。
提出先 | 提出書類 | 提出する場合 | 提出期限 |
---|---|---|---|
税務署 | 法人設立届出書 | 必須 | 会社設立の日から2か月以内 |
給与支払事務所等の開設届出書 | 給与を支払う場合 | 第1回給与支払日まで(役員報酬も含む) | |
源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書 | 源泉所得税の納期の特例を受ける場合 | 納期の特例を受ける月の初日の前日まで | |
青色申告の承認申請書 | 青色申告の承認を受ける場合 | 設立から3か月以内 | |
消費税課税事業者選択届出書 | 消費税の課税事業者を選択する場合 | 設立第1期の終了日まで | |
消費税簡易課税制度選択届出書 | 消費税の簡易課税を選択する場合 | 設立第1期の終了日まで | |
都道府県税務事務所 | 法人設立届出書 | 必須 | 都道府県による |
市町村(東京23区は不要) | 法人設立届出書 | 必須 | 市町村による |
税務署・都道府県(各税務事務所)・市町村の3カ所に提出します。中には、提出にあたって税金上の判断が必要なものもあります。提出にあたっては、事前に顧問税理士に相談しましょう。
労務関連の届出
労務関連の届出は以下の通りです。
提出先 | 提出書類 | 提出する場合 | 提出期限 |
---|---|---|---|
年金事務所 | 健康保険・厚生年金保険新規適用届 | 健康保険・厚生年金保険に加入する場合 | 健康保険・厚生年金保険に加入する日から5日以内 |
健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届 | 健康保険・厚生年金保険に加入する場合 | 健康保険・厚生年金保険に加入する日から5日以内 | |
健康保険被扶養者(異動)届 | 被保険者に扶養する者がいる場合 | 扶養に入る場合、できる限り早く | |
国民年金第3号被保険者資格取得届 | 被保険者に被扶養配偶者がいる場合 | 扶養に入る場合、できる限り早く | |
労働基準監督署 | 適用事業報告 | 従業員を1人でも使用するようになった場合 | 雇ってからできる限り早く |
時間外労働及び休日労働に関する協定届 | 従業員に時間外労働をさせる場合 | 時間外・休日労働を行う前まで | |
労働保険関係成立届 | 従業員を1人でも使用するようになった場合 | 従業員を雇った日から10日以内 | |
労働保険概算保険料申告書 | 従業員を使用するようになった場合 | 従業員を雇った日から50日以内 | |
ハローワーク | 雇用保険適用事業所設置届 | 雇用保険に加入する従業員を使用するようになった場合 | 従業員を雇った日から10日以内 |
雇用保険被保険者資格取得届 | 雇用保険に加入する従業員を使用するようになった場合 | 従業員を雇った月の翌月10日まで |
健康保険・厚生年金保険関連の書類は年金事務所に提出します。健康保険・厚生年金保険については、役員報酬を支払う場合や、従業員を雇用した場合に加入義務があります。ただし、雇った従業員がパートタイマー・アルバイトの場合は、1日または1週間の労働時間と1か月の所定労働日数が、ともに通常の労働者の4分の3以上ある場合のみ加入義務があります。
また、労働基準監督署には、従業員の雇用に伴う届出や労働保険料に関する書類を提出し、ハローワークには、雇用保険関連の書類を提出します。労働基準監督署には、従業員を1人でも雇えば届出が必要となります。
一方、ハローワークには、雇用保険の加入義務がある従業員を雇った場合のみ届出します。加入義務がある従業員とは、正社員のほか、アルバイトやパートタイマーの場合は雇用期間31日以上で、週20時間以上働く場合(昼間学生は対象外)に加入義務が発生します。