事業計画書・資金計画の作り方
事業計画書をいきなりつくるのは大変ですが、おおまかなアウトラインがあると安心です。今回は事業計画書をつくるのための構成の作り方と、各事項の詳細、そして作成にあたってのポイントを解説しています。
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目次
事業計画書作成の目的
事業計画書を作成する目的は、
- 事業の計画自体が良いかどうか自分自身でよく確認する
- 融資や補助金など資金調達に活用する
などがあげられます。
行き当たりばったりでは、起業に成功するのは難しいものです。起業前にしっかりと計画を練っておきましょう。
誰が書くものなのか
事業計画書は必ず自分で作成しましょう。自分でつくるからさまざまなことを想定でき、対策を考えられるのです。書いていくうちに思いがけないアイデアや気づきが出てきたりもします。自分で試行錯誤して何度も書き直しながら、書き上げましょう。専門家には丸投げをするのではなく、ポイントについてアドバイスをもらうというスタンスが良いでしょう。
事業計画書の構成
それでは事業計画書のテンプレートを見てみましょう。
以下のサイトで著者が作ったオリジナルの事業計画書テンプレートをダウンロードできます。
◎事業計画書テンプレート
http://www.v-spirits.com/download/
この事業計画書テンプレートに従って説明します。
事業計画書はおもに次の構成になっています。
1.企業概要
2.代表者のこれまでの経験、起業の動機
3.事業コンセプト
4.市場環境分析
5.マーケティング戦略
6.スケジュール
7.事業上の問題点、リスク
8.協力者
9.資金計画
10.損益計画、収支計画
一つずつポイントを見ていきましょう。
1. 企業概要
会社名、本店所在地、法人形態、資本金、設立日、従業員数など起業しようとする企業の概要情報を記入します。
2. 代表者のこれまでの経験、創業への動機
これまで代表者がどのような経験をされてきたのか、なぜ今回この事業をしようと考えたのかを書いていきます。
3. 事業コンセプト
どのような事業なのか、ひと言で何をする会社、事業なのかが伝わるように書きましょう。誰に、何を、どのように、の観点で書くと伝わりやすくなります。
4.市場環境分析
行おうとする事業がどのような市場環境にあるのかを書いていきます。インターネットや新聞にある情報だけでなく、あなただから知っている点をあげることがポイントです。 必ず競合分析も織り交ぜていきましょう。
5.マーケティング戦略
具体的にどのように売っていくのかを書いていきます。
- ターゲット顧客
- 製品、サービス
- 価格
- 販売チャネル
- プロモーション
の観点で書いていきます。
6.スケジュール
事業を進めていくためのスケジュールです。スケジュールを作成するといつ何をやらなければならないのかが明確になります。
7.事業上の問題点、リスク
事業は良い面ばかりではなく、リスクも考えられます。どういうリスクがあるのか、それに対してどのような対策をとるのかを具体的に記入します。現実に起こりうるリスクとその対策を洗い出すことができるとともに、リスクへの対応能力があると印象付けられます。
8.協力者
これまでのご経験からどのような人と知り合ったのか、どういう関係なのか、どのようなことに協力してくれるのかを書いていきます。外部の協力者が多いということは人間としての信頼があるとみなされます。なるべく多くの人を挙げましょう。
9.資金計画
事業を新たに行おうとする場合、お金が掛かります。この事業を行っていくために何にいくらお金がかかるのかを書いていきます。計画が具体的になればなるほど資金計画も具体的なものになってきます。
ここで押えておきたいのは設備資金と運転資金という考え方です。
設備資金とは事業を行うために一時的に必要な資金です。一度購入したらしばらく使い続け、頻繁に購入する必要のないものです。機械設備や車、お店の内装、什器備品などが該当します。
運転資金とは事業を行うために日常的に必要な資金です。飲食店であれば食材の仕入、店舗の家賃、店員の人件費などが該当します。
10.損益計画、収支計画
損益計画、収支計画はここまで書かれた内容の集大成です。この計画で事業を行ったら、いつ、いくら売れ、いくら支払って、いくらの利益が出るのかを月単位で表していきます。
具体的に数値で表すことで、利益を出すことができ、そこから返済ができるということを伝えられます。
全体を通してのポイント
ポイントは具体性と一貫性です。
具体性のある内容とは、例えば「飲食店をやりたい」と書くのと、「老舗有名寿司店で10年修業した経験を活かし、寿司をメインとした和食創作ダイニングを開店したい」と書くのでは具体性が違いますね。「なに」をやるかだけでなく、「どのように」やるのかを書きましょう。
一貫性とは、マーケティング戦略やスケジュール、資金計画などすべてが損益、収支計画に関わってくることです。製品がまだ開発段階なのに多くの売上があがっていたり、プロモーション計画に具体性が乏しいのに爆発的に売上が上がっていたりなど、数字的な根拠に乏しい事業計画書では説得力を出せません。矛盾がなく裏付けや根拠がしっかりした一貫性のある事業計画書を作るようにしてください。