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税務署への法人税申告前にやるべきこと

申告書は、「その事業年度に発生した事象」をあますところなく反映させることが重要です。費用と収益の対応関係など、申告書作成の際に重要な5つの要素をピックアップしてお伝えします。

法人の確定申告は税理士に依頼すると費用はいくらかかるのか?

申告期限(法人税や消費税などの確定申告書を提出する期限)は、事業年度終了の日から2カ月以内と決まっています。気を付けなくてはいけないのは、申告するだけではなくて、納税までしなくてはいけないというところです。つまり、現金が必要ということになります。

売上や経費を入金ベースではなく稼働ベースで集計しよう

売上や経費を入金ベースではなく稼働ベースで集計しよう

やらなくてはいけないのは、売上や経費について、当期分を正しく認識することです。

売上や経費の認識は入金ベースではなく、引渡しや完成時ということに注意してください。上の紺色の矢印のように、完成引渡しが決算日の手前にある場合、これは当期の売上または当期の仕入になります。入金または支払いが決算日以降にあるとしても、当期の売上や経費となるところがポイントです。

また、上記のグレーのラインのように、まだ集計期間中で請求書が上がっていない状態だったとしても、引渡しをしている、または受けている分があるならば、これを当期の売上または経費として認識することになります。

取引の時間軸を事業年度にそろえよう

取引の時間軸を事業年度にそろえよう

すべての取引の時間軸を合わせることが第一です。たとえば、①の紺のブロックが売上の請求書だとします。

売上の請求書の集計期間が決算日をまたいでいるときは、請求期間に関係なく、事業年度で対象となっている売上だけを計上することが必要です。また、対象の事業年度より前期に引き渡した売上や翌期に引き渡した売上を除いてあげることで、請求期間をきっちり区切ります。これは、費用についても同じことがいえます。

なお、請求・支払の期日 決め方の原則、でおすすめした「月末締め、月末払い」が徹底されている場合には、原則翌月の入金・支払の金額をそのまま当期分として処理すれば良いので、処理の手間がほとんどかかりません。

売上と原価を対応させよう

売上と原価を対応させよう

あともう1点大事なのは、売上と原価を対応させることです。上の紺色のブロックが売上だとして、当期の売上は期末までとなります。

そして下のグレーのブロックが仕入だとして、緑の点線で挟まれた期間分が当期の売上に対応する部分だとしましょう。

期末以降のグレーのブロックは、当期ではなく翌期の売上に対応する分の経費ということになります。この翌期に対応する部分(棚卸し)が商品の在庫となり、期末日にはまだ売れずに残っているものになりますので、ここに関して在庫を集計し、当期の費用から除く必要があります。

利益を打ち消す経費の先取りが「税務調査」の一因に

法人税申告のときに、売れていない分の経費が入ってしまっているとなると、翌期の経費の先取りすることになります。これを、期ズレといい、税金を追加で支払ったり、延滞税などを払う追徴課税をうけることとなります。

正しい利益を把握しようというその行為は、期ズレによる追徴課税をされることの防止にもなりますので、利益の把握、税務調査のどちらにも効果があることです。

実際にチェックするためには、決算期後に翌月の入金または支払いから、その根拠となった請求書に記載された納品日等が当期の日付になっているものをチェックし、当期のものを集計して当期の売上や費用に計上する作業が必要です。

請求・支払の期日 決め方の原則、でおすすめした「月末締め、月末払い」が徹底されている場合には、翌月の入金・支払の金額をそのまま当期分として処理すれば良いので、処理の手間がかかりません。

株主総会開催の時に注意したいこと

申告書をつくる前に株主総会を開催する必要があります。株主総会の議案で一番重要なことは、役員報酬の改定です。株主総会でしか変更できないのです。

役員報酬の決め方のところで説明したように、定期同額払いで支払うということになりますので、ここで決めたら1年間、その他の時期では変えられません。また、役員賞与を払うなら、役員賞与をここで決定して税務署に届出を出しておくことで経費にすることができるようになります。

【最後に】申告書を作成しよう

基本的には申告書の作成は会計事務所に依頼しましょう。

届出書と一緒で、税務署だけではなく、都道府県、市町村にも提出する必要があります。ここは、所得税の確定申告と違うところなので注意が必要です。

すべて申告と同時に納付期限になりますので、前もって納税額がどれぐらいになるかというシミュレーションぐらいはしておかないと慌てることになります。

知っておきたい基礎知識|お金と経理 虎の巻(法人編)|まとめINDEX

  1. 法人設立に必要な2つの知識
  2. 事業継続のための「売上」と「利益」
  3. 法人設立時に決めておきたい5つの項目
  4. 法人設立後に届け出が必要な6つの書類
  5. 請求・支払の期日 決め方の原則
  6. 給与・勤怠管理で困らないためのルール決め
  7. 請求書・領収書…… 支払・仕入の管理方法
  8. 会社にとって無理のない給与の決め方
  9. 運転資金に困らない金融機関の選び方
  10. 「起業に必要な資金」の考え方
  11. 創業融資、3年目まで影響する”受け損ね”
  12. 知っておきたい、運転資金の重要性
  13. 決算月にやっておくべき5つの作業
  14. 税務署への法人税申告前にやるべきこと
  15. 会計事務所はこう使え! お願いしたい4つのこと
  16. 期ズレ、賞与、寄付… 気をつけたい経理処理のルール
  17. 創業1年目から気をつけたい! 最低限度の会計処理
  18. 税務署に指摘されない現金と預金の管理法
  19. 習うより慣れろ! 賢い会計ソフトの入力方法
  20. 資金繰りであわてないための経理カレンダー
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