法人設立後に届け出が必要な6つの書類
法人を設立したら、さっそく事業を開始したいところですが、その前にいくつかの書類を提出する必要があります。ここでは、法人設立後に届け出が必要になる書類について詳しく説明します。
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2022年(令和4年)分の所得税の確定申告の申告期間は、2023年(令和5年)2月16日(木)~3月15日(水)です。最新版の確定申告の変更点は「2023年(2022年分)確定申告の変更点! 個人事業主と副業で注目すべきポイントとは?」を参考にしてみてください!
目次
まずは、設立直後にやっておかないといけない手続き、あるいは、やっておかないと損するものがありますので、少し整理しておきたいと思います。
その事業、許認可が必要ではありませんか?
いうまでもありませんが、許認可の必要な業種であれば、はじめに許認可を取らなくてはいけません。
できれば、会社設立前に許認可の関係省庁にきちんと条件などを確認しておきましょう。そのうえで、会社を設立してからでないと進まない手続きもあると思いますので、できるだけ迅速にやってしまいましょう。また、預金口座がないとできない手続きも多くあります。
銀行で預金口座を開設するのと同時進行で、諸手続きを進めるようにしましょう。
期限は最大3カ月! 税務署に提出すべき5つの書類
- 税務署に提出が必要な書類
- ・青色申告の承認申請書
・法人設立届書
・給与支払事務所の開設届出書
・源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書
・申告期限の延長の特例の申請書
青色申告の承認申請書
税務面では青色申告の承認申請書だけは忘れてはいけません。これを出しておかないと、損失を翌年以降に繰り越すことができません。大抵の場合、設立初年度は赤字になってしまいます。この赤字が切り捨てられ、次の年度に黒字になったらいきなり法人税が掛かってしまいます。
青色申告の承認申請をすることで、損失を9年間繰り越せるようになります。さらに、青色申告は節税という意味でもメリットがあり、30万円未満の資産を経費にすることができます。
なお、青色申告でない場合には、10万円以上の資産を買ったら、全部資産計上して減価償却を通じて複数年で経費化することになってしまいます。
その他多くの節税制度が青色申告をしていることが前提条件となっています。
提出期日は、設立の日以後3カ月を経過した日と、最初の事業年度の終了の日、いずれか早い日の前日です。つまり、応当日の前日にこれを出しておかないといけないことになります。
源泉所得税の納期の特例に関する申請書
もう1つ大切なのは、源泉所得税の納期の特例に関する申請書です。
これを出しておくと、従業員が10人未満の会社に限定されるものの、従業員の給与から預かった源泉所得税を、1月から6月までの分を7月に、7月から12月までの分を翌年の1月にと、年2回にまとめて納付をすることが可能になります。これを出しておかないと預かった翌月までに納付する必要があります。毎月の支払いが面倒であれば提出しておきましょう。
半年分まとめると、割と金額がまとまってしまって支払うのが大変だという人は、この届出を出すだけ出しておき、実際には毎月納付することもできます。
「だったら出す必要がないのでは?」。こうしておけば、毎月納付する義務はありませんので、資金繰りが苦しい月の支払いを伸ばしたとしても、延滞税などがつくことがなく、いざという時の保険として効果が望めるのです。
申告期限の延長の特例の申請書
また、申告期限の延長の特例の申請書も出しておきたい届出です。通常、決算の日から2カ月以内に法人税を申告しなければなりません。しかし、この申請をしておくことで、株主総会が2カ月以内に終わらない会社の場合は1カ月、連結法人であれば2カ月延長することができます。
実際問題、株主総会が遅くなるかどうかは別として、申告期限の直前に会社の人や会計事務所の人が不慮の事故に遭ってしまう可能性もあります。これが出してあれば期限後申告ということにならないのです。
法人設立届出書&給与支払事務所の開設届出書
ほかに、税務署に出しておかねばならない書類としては、法人設立届出書、給与支払事務所の開設届出書があります。
多くの許認可事業では、税務署に提出した法人設立届出書の写しを提出しなければなりません。法人の銀行口座を開設する場合でも、法人設立届出書が必要な場合もあります。2度手間にならないよう、起業と同時にやっておくと良いでしょう。
注意したい、社会保険や労働保険の加入対象
税務署に提出したらそれで終わり、ではありません。法人の場合は都道府県や市町村に対しても届け出をする義務があります。個人の申告では必要ないため、個人の申告と同じ感覚でいて忘れてしまうことがないようにしましょう。
それから、法人特有の問題としては、社会保険の加入義務があります。個人の事業であれば、従業員が5人以上でなければ加入義務はないのですが、法人の場合には全法人に加入義務が課されており、代表者が1人しかいなくても入らなくてはいけませんので注意が必要です。さらに、従業員が1人でもいれば労働保険の加入手続きも必要になりますので、気をつけましょう。
知っておきたい基礎知識|お金と経理 虎の巻(法人編)|まとめINDEX
- 法人設立に必要な2つの知識
- 事業継続のための「売上」と「利益」
- 法人設立時に決めておきたい5つの項目
- 法人設立後に届け出が必要な6つの書類
- 請求・支払の期日 決め方の原則
- 給与・勤怠管理で困らないためのルール決め
- 請求書・領収書…… 支払・仕入の管理方法
- 会社にとって無理のない給与の決め方
- 運転資金に困らない金融機関の選び方
- 「起業に必要な資金」の考え方
- 創業融資、3年目まで影響する”受け損ね”
- 知っておきたい、運転資金の重要性
- 決算月にやっておくべき5つの作業
- 税務署への法人税申告前にやるべきこと
- 会計事務所はこう使え! お願いしたい4つのこと
- 期ズレ、賞与、寄付… 気をつけたい経理処理のルール
- 創業1年目から気をつけたい! 最低限度の会計処理
- 税務署に指摘されない現金と預金の管理法
- 習うより慣れろ! 賢い会計ソフトの入力方法
- 資金繰りであわてないための経理カレンダー