損益計算書(P/L)の作り方 会計・簿記の基本−9
損益計算書が会社の利益を明らかにするための表であることは、すでに述べたとおりです。損益計算書は、会社が1年間にどれだけ収益を上げ、そのためにどれだけ費用がかかり、結果として利益がいくら出たかを明らかにします。したがって損益計算書にはすべての費用と収益を集めることになります。
[おすすめ]法人の会計業務をかんたんに!無料で使える「弥生会計 オンライン」
2022年(令和4年)分の所得税の確定申告の申告期間は、2023年(令和5年)2月16日(木)~3月15日(水)です。最新版の確定申告の変更点は「2023年(2022年分)確定申告の変更点! 個人事業主と副業で注目すべきポイントとは?」を参考にしてみてください!
目次
借方に費用、貸方に収益をならべる
費用と収益を集めて表にするといっても、ただ漫然と並べるのではなく、一定の約束にしたがって並べるのです。
その約束ごととは、表を左右に分け、左側(借方)に費用、右側(貸方)に収益を並べ、その差額である利益を計算して左側(借方)、費用の下に並べるということです。
下記に損益計算書の例を示しました。左側に費用の勘定科目(合計2,000)、右側に収益の勘定科目(合計2,200)が並んでいます。そして、収益から費用を差し引いて計算した利益200が、当期純利益として費用の下に表示されていますね。
損益計算書で取引規模や利益率を知ることができる
基本-7(「貸借対照表の作り方」)で、貸借対照表を見ました。貸借対照表でも資産と負債・純資産(資本金)との差により”当期純利益”を求めることができました。
損益計算書とは反対に、貸借対照表では貸方の資本金の下に当期純利益が表示されましたが、金額は必ず一致します。もしも不一致の場合は、作成の過程でミスがあることになります。
ところで、貸借対照表で当期純利益を計算できるなら、損益計算書は不要(又は重要性が低い)ということになるのでしょうか…?
そうではありません。なぜなら、企業の取引規模や利益率などの情報は損益計算書を作らないとわからないからです。
たとえば、同じ利益200を稼いでいても、次のA社とB社のケースではまったく意味が異なりますね。
A社とB社の収益合計は、1,000と10,000です。取引規模(業界におけるシェア)でいうと、B社が圧倒していることが解ります。
しかし、利益率(利益÷収益合計)を比較するとA社の方がよい結果となっています。
A社の規模は小さいが、何かの特別な技術を持っているので、利益率の高い価格で販売できていることが想像できます。
この点は、貸借対照表を見ただけではわかりませんね。
というわけで、損益計算書も貸借対照表と並んで大切な財務諸表となるのです。
知っておきたい基礎知識|会計・簿記|まとめINDEX
- 個人事業主にとっての簿記とは 会計・簿記の基本−1
- ビジネス・パーソンにとって簿記は必須 会計・簿記の基本−2
- 簿記の実際の流れ 会計・簿記の基本−3
- 会計期間について 会計・簿記の基本−4
- 簿記の五大要素とは 会計・簿記の基本−5
- 資産・負債・純資産と貸借対照表 会計・簿記の基本−6
- 貸借対照表(B/S)の作り方 会計・簿記の基本−7
- 収益・費用と損益計算書 会計・簿記の基本−8
- 損益計算書(P/L)の作り方 会計・簿記の基本−9
- 簿記の仕訳のルールを身につけよう 会計・簿記の実践編−1
- 資産の仕訳をやってみよう 会計・簿記の実践編−2
- 負債と純資産の仕訳 会計・簿記の実践編−3
- 収益と費用の仕訳 会計・簿記の実践編−4
- 決算:試算表の作成方法・作り方 会計・簿記の実践編−5
- 決算整理と試算表 会計・簿記の実践編−6