事業のお金を立て替える時に覚えておきたい「事業主借」と「事業主貸」とは
監修者 : 宮原 裕一(税理士)
個人用と事業用のお金を完全に区別することは難しいでしょう。事業のお金を個人用に使ったり、個人のお金を事業用に使ったりする場合もあります。
こういうときに使う勘定科目が「事業主貸」と「事業主借」です。
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目次
個人用と事業用のお金のやり取りの仕方
個人用と事業用の間のお金のやり取りには決まりがあります。
事業のお金を個人用に使ったときは「事業主貸(じぎょうぬしかし)」、個人のお金を事業用に使ったときには「事業主借(じぎょうぬしかり)」という勘定科目で処理します。
例えば家事関連費の按分です。家賃や光熱費を事業用の口座から引き落としている場合、経費として落とせない個人の金額分は「事業主貸」として帳簿に付けます。逆に個人用の口座から引き落としているなら、事業で使った経費分を「事業主借」として帳簿付けします。
聞き慣れない言葉ですが、お金がどちらからどちらに流れたかを示すもので、難しくはありません。
「家事費」は必要経費になりません
個人用の出費を「家事費」といい、これは必要経費にはできません。
家事費には食費や教育費などのほか、下のようなものがあります。もし事業用のお金を家事費に使った場合、勘定科目は必ず「事業主貸」で処理するようにしましょう。
【おもな家事費】
- 生活費
- 食費
- 被服費
- 教育費
- 娯楽費
- 医療費
- 家事で使った光熱費
- 家族旅行費
- 生命保険料 など
【一般的に経費とされない例】
- 所得税
- 住民税
- 眼鏡やコンタクトレンズ
- 青色事業専従者と行く家族旅行
- 同居している親族へ支払う家賃
「事業主貸」と「事業主借」
事業主貸:事業のお金を個人用に使った
(=事業主個人に事業用のお金を貸した)

(具体例)
- 事業の口座から生活費を引き出した
- 事業の口座から国民年金を引き落とした
- 事業用のクレジットカードで個人の買い物をした
事業主借:個人のお金を事業用に使った
(=事業主個人から事業用のお金を借りた)

(具体例)
- 事業資金が不足して個人のお金を振り込んだ
- 個人のお金で仕事用の買い物をした
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