現金出納帳とは?書き方や必要項目、作成のポイントなどを解説

2024/02/02更新

この記事の監修税理士法人 MIRAI合同会計事務所

事業で現金を使う場合は、現金出納帳(げんきんすいとうちょう)という帳簿を作成する必要があります。現金出納帳は、日々のお金の流れを記録する帳簿で、会社の現金を管理するうえで非常に重要なものです。

現金出納帳には記載項目などのルールがあり、正しい書き方や意味を知っておくことが大切です。ここでは、現金出納帳の役割や基本的な記載項目、書き方のポイントなどを解説します。

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現金出納帳(金銭出納帳)とは、日々の現金の出入りや残高をチェックするために作成する帳簿のこと

現金出納帳は、日々の現金の出入りや残高を詳細にチェックするために作成する帳簿です。これは金銭出納帳(きんせんすいとうちょう)とも呼ばれ、現金の入金または出金があるたびに「いつ・何のために・どこから(どこに)・いくら受け取った(支払った)」という取引内容の詳細を記載するものです。

現金の入出金を記録し、帳簿残高と実際の現金残高が一致しているかを確認することで、会社のお金を管理する役割を持ちます。毎日数多く発生する現金の出入りを頻繁に記帳していくため、最もよく使う帳簿のひとつといえます。

現金取引を行っている場合は作成が必要

会計帳簿は主要簿と補助簿の2つに分けられ、現金出納帳は補助簿にあたります。事業を営んでいると、現金の他にも預金、手形などさまざまな取引が発生します。全ての取引は仕訳帳や総勘定元帳といった主要簿にも記載しますが、そのうち、現金での取引だけを記録するのが現金出納帳です。

キャッシュレス決済が普及しつつあるとはいえ、商品の売上代金や経費の支払いなど、現金のやりとりがゼロになることはないでしょう。現金取引を行う以上は、現金出納帳を作成し、お金の流れを管理する必要があります。

会計帳簿についてはこちらの記事で解説していますので、参考にしてください。

会計帳簿とは?主要簿と補助簿の違いや書き方、保存期間などを解説

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現金出納帳のメリット

現金出納帳には、会社のお金の流れを把握し、適切に管理するという目的があります。具体的には、大きく分けて次の2つのメリットが挙げられます。

お金の流れを可視化できる

通帳を見れば取引内容が分かる預金などとは異なり、現金取引は記録がないと後で確認にしにくく、「お金をいつ何に使ったか思い出せない」「いつどんな入金があったか分からない」ということが起こりがちです。現金出納帳を作成していれば、お金のやりとりの詳細が可視化され、会社の現金の動きがひと目で分かります。特に、小売店などの場合は現金取引が多いため、現金出納帳を作成して入出金を正確に把握することが大切です。

社内の不正防止に役立つ

横領などの不正には、起こってから対策するよりも、不正が起こらないようにする仕組み作りが大切です。

現金出納帳を作成し、帳簿残高と実際の現金残高を確認していれば、誤差が生じたときにもすぐに原因究明が可能になります。万が一従業員が会社のお金を不正に持ち出した場合も、いち早く発見できるでしょう。こまめに現金出納帳をチェックする体制を整えておくことで、不正の抑止にもつながります。

現金出納帳に書くべき項目

ここからは、現金出納帳の記載項目について見ていきましょう。現金出納帳には、一般的に下記の6つの項目を記載します。

現金出納帳の例

日付

現金出納帳は、日付順に記載します。日付の欄には現金の入金または出金があった日を記入しましょう。領収書や請求書の日付と実際にお金を支払った(または受け取った)日が異なる場合は、領収書ではなく実際の日付を書きます。

勘定科目

収入や支出の内容を表す勘定科目を記載します。例えば支出なら、「旅費交通費」「水道光熱費」「消耗品費」などです。

摘要

摘要(てきよう)の欄には、入出金の相手や目的といった詳細を具体的に記載します。お金の出入りなら「◯◯銀行へ入金」や「◯◯銀行より出金」、消耗品の購入なら「ボールペン◯本購入」など、後から誰が読んでも分かるように端的にまとめましょう。

入金

入金があった場合、その金額を記載します。消費税については、税込金額を記載します。

出金

お金を支払った場合は、出金の欄にその金額を記載します。消費税については、税込金額を記載します。

残高

取引の結果の残高を記載します。入金があった場合は前の行の残高に入金額を足し、出金の場合はその金額を引きます。正確に記帳していれば、残高欄に記載した金額と実際の現金残高は一致するはずです。

現金出納帳の書き方

現金出納帳に決まった様式はありませんが、書き方には一定のルールがあります。作成するときには、あらかじめ書き方のルールを確認しておきましょう。

ページの最初の書き方

ページの最初の行には、摘要欄に「期首繰越」「前月繰越」などの該当する言葉を書き、その時点の現金残高を記入します。前のページがいっぱいになってページを移動した場合は、最初の行には「前頁より繰越」などと書きます。そして、次の行から入出金を記帳していきましょう。

最後の繰り越し方

月や期が変わる際には、余白があっても必ず次のページに移動します。

その月の最後の記帳が終わったら、二重線を引いて仕切り線とし、その下の摘要を「◯月合計」として入金額と出金額それぞれの合計金額を記載しましょう。さらに、下の行の摘要を「次月繰越」とし、翌月に繰り越す残高を書きます。

期末の締め方

現金出納帳の期末の締め方は、月末のケースとほぼ同様です。期末を迎えたら、ページの途中でも二重線の仕切り線を引いて締めます。そして、その月の月末残高と入金額・出金額の合計、期末残高を計算し、下の行に「次期繰越」として次期繰越金額を記入しましょう。

残高が合わない場合

現金出納帳を作成していると、帳簿上の残高と実際の現金残高にずれが生じることがあります。残高が合わないときは、まず、記入の漏れやミス、計算間違いなどがないか十分な確認が必要です。それでも原因が分からない場合は、「現金過不足」という勘定科目で実際の現金残高に合うように調整して処理します。

現金過不足勘定は、原因が分かり次第、修正して取り消します。もし、決算時までに原因が究明できない場合は、「雑損失」または「雑収入」として処理しましょう。

現金出納帳で使用する勘定科目

勘定科目とは、入出金の内容を分類するラベルのようなものです。現金出納帳でよく使われる勘定科目を、収入、支出それぞれのケースに分けてご紹介します。

現金出納帳の収入金額としてよく使われる勘定科目

収入金額として使用される勘定科目には、どのようなものがあるのでしょうか。ここでは、よく使われる5つの項目について説明します。

売上高

売上高は、対価として受け取る代金のこと。商品や製品を販売したり、サービスを提供したりした際に受け取るお金。

雑収入

本業に付随して得た収入で、重要性が高くないものに関して受け取ったお金は雑収入となります。例えば、スクラップや作業くずの売却収入や取引先からのリベート、自動販売機からの収入など。

仮受金

取引内容や金額が未確定で、一時的に受け取ったお金は仮受金となります。内容や金額が確定した後、しかるべき勘定科目に振り替えます。

預り金

預り金とは、従業員などから一時的に預かったお金で、本人に後日返すか、または本人に代わって他人に支払うもの。源泉所得税や住民税などが該当します。

普通預金

普通預金とは、普通預金口座を使った取引を処理する勘定科目のこと。口座から現金を引き出した場合などに使います。

現金出納帳の支出金額としてよく使われる勘定科目

支出金額としてよく使用される勘定科目には、どのようなものがあるのでしょうか。ここでは、よく使われる20の勘定科目について説明します。

給料手当

給料手当とは、従業員に支払う給与や手当のこと。具体的には、基本給、諸手当、家族手当、住宅手当、時間外勤務手当、休日出勤手当、役付手当、職務手当、食事手当などが該当します。

仕入

仕入は、販売するために仕入れた商品の代金や、製品の原材料の購入代金のことを指します。

福利厚生費

従業員に対して提供する給与手当以外に関する費用が、福利厚生費です。具体的には、従業員への慶弔費、社員旅行や、忘・新年会の費用、健康診断費などが該当します。

消耗品費

消耗品費とは、取得価額が10万円未満か使用可能期間(法定耐用年数)が1年未満の消耗品にかかった費用のこと。具体的には、事務用机や電球、梱包資材などが該当します。

事務用品費

帳簿やペン、コピー用紙、封筒など、日常使われる事務用品を購入する費用は事務用品費に該当します。会社によっては消耗品費にまとめることもあります。

車両費

車両費とは、事業に使用している車にかかる諸経費全般のこと。一時的な駐車場代金、高速料金、車検費用なども含みます。また、車を使用する際にかかるガゾリン代については、後述する旅費交通費で処理する場合があります。

修繕費

営業活動に使用する資産の修理代金(減価償却資産にあたらないもの)は修繕費に該当します。具体的には、店舗や機械、器具、自動車などを修理した際の費用のことを指します。この修理代金は、資本的支出に該当すれば減価償却資産にあたる場合があります。

地代家賃

地代家賃は、店舗や事務所の家賃、礼金、駐車場代などのこと。共益費や管理費を家賃と一緒に払っている場合は地代家賃に含みます。

保険料

保険料とは、火災保険や自動車保険、運送保険、盗難保険など、あらゆる保険にかけている費用のこと。

旅費交通費

事業の中で利用した公共交通機関や高速道路、タクシー、宿泊施設などの代金を旅費交通費といいます。出張手当も含みます。

通信費

通信費は、事業で使う切手・はがき代の他、固定電話や携帯電話料金、インターネット回線使用料などのこと。

新聞図書費

事業上必要な書籍、雑誌、新聞などの購入費のことを、新聞図書費といいます。

租税公課

租税公課(そぜいこうか)とは、国または地方公共団体から課せられる租税に関する費用のこと。具体的には、印紙税、登録免許税、不動産取得税、自動車税、自動車取得税、固定資産税、事業所税などが該当します。

水道光熱費

事務所などで使う水道・ガス・電気・灯油代のことを、水道光熱費といいます。

接待交際費

接待交際費とは、事業を円滑に行うために必要な費用のこと。具体的には、取引先や仕入先との飲食代、贈答品代、慶弔費などが該当します。

支払手数料

事務委託手数料や業務委託手数料などのことを支払手数料といいます。銀行に支払う振り込み手数料や、税理士・弁護士といった専門家へ支払う報酬が該当します。

広告宣伝費

不特定多数の者に対して、商品や製品の広告などのために支出する費用が広告宣伝費です。具体的には、メディアを利用した広告やノベルティグッズ、チラシ、カタログなどの制作費が該当します。

雑費

少額で重要性が低く、どの勘定科目にもあてはまらない支出は雑費に該当します。

仮払金

仮払金とは、内容や金額が未確定で、一時的に支払われたお金のこと。交通費、交際費などの概算支払いに多く使われます。後日、内容や金額が確定した時点で、しかるべき科目に振り替えます。

立替金

取引先、役員、従業員、子会社などに対して、会社や事業主が一時的に支払いを立て替えたお金のことを立替金といいます。

現金出納帳作成のポイント

現金出納帳の書き方は、ルールさえ押さえれば決して難しいものではありません。しかし、手書きで記帳をしていると、手間や時間がかなりかかります。また、記入ミスや計算ミスがあると残高が合わず、確認作業に時間が取られてしまいます。

現金出納帳を正確かつスムースに作成するには、どうすれば良いのでしょうか。ここでは、現金出納帳をスムースに作成するための2つのポイントをご紹介します。

会計ソフトを使って作成する

会計ソフトを使用すれば、テンプレートに沿って数字を入力するだけでかんたんに現金出納帳が作成できます。集計作業も自動で行われるため、計算ミスや転記漏れなどの心配もありません。さらに、スマートフォンからも取引の入力ができる会計ソフトを選べば、出先や移動中の隙間時間を活用して効率良く記帳を進めることができます。

日々の記帳が面倒な場合は立替精算で処理する

例えば、事業上で生じた従業員一人ひとりの交通費を、毎日現金出納帳に記載するのは大変です。そのような場合は、従業員が個人のお金で立て替え、それを後日まとめて精算する方法もあります。

一般的には、従業員が経費の領収書を保管しておき、それを1か月や1週間など一定の期間で区切って精算します。または、仮払金として概算のお金を先に従業員に渡しておき、後日実際に使った分を精算するやり方も有効です。

会計ソフトなら、日々の帳簿付けや決算書作成もかんたん

日々の帳簿付けと法人決算をスムースに進める大きなポイントが、使い勝手の良い会計ソフトを選ぶこと。そんなときにおすすめなのが、弥生のクラウド会計ソフト「弥生会計 オンライン」です。

「弥生会計 オンライン」は、初めて会計ソフトを導入する方でもかんたんに使える、クラウド会計ソフトです。初年度無料ですべての機能が使用できるので、気軽にお試しいただけます。

簿記・会計の知識がなくても使える機能と画面設計

「弥生会計 オンライン」は、簿記や会計の知識がなくても使える機能と画面設計で、初めて会計ソフトを使う方でも安心です。取引の日付や金額などを入力するだけで、小規模法人に必要な複式簿記帳簿が自動作成できます。

また、日々入力したデータは顧問の税理士・会計事務所(※弥生PAP会員の税理士・会計事務所)とクラウド上で共有できます。受け渡しの手間が省けて効率的です。

銀行明細、クレジットカードなどの取引データを自動で取込できる

「弥生会計 オンライン」を使えば、銀行明細やクレジットカードなどの取引データの他、レシートや領収書のスキャンデータ、スマートフォンアプリで撮影したデータを自動で取り込み、自動で仕訳することができます。金融機関からダウンロードした取引明細や帳簿、ご自身で作成したCSV形式のファイルを取り込むこともできるため、入力と仕訳の手間を省くことが可能です。また、スマートフォンから直接入力もでき、出先や移動中の時間を効率良く使えます。

日々の取引を自動で集計でき、見やすいレポートで管理できる

「弥生会計 オンライン」を使えば、入力したデータをもとに日々の取引を自動で集計し、さまざまなレポートを自動で作成することができます。わかりやすいグラフレポートをいつでも確認可能なため、経営成績がひと目で把握できます。

初心者でも安心!カスタマーセンターがしっかりサポート

業界に精通した専門スタッフが、電話、メールでの操作サポートに加え、仕訳や経理業務の相談にもお応えします。製品の操作が不安な方や会計の業務が苦手な方でも、充実のサポートで安心してお使いいただけます。

  • カスタマーセンターによるサポートは、「サポート付きプラン(ベーシックプラン)」が対象です。

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現金出納帳は会計ソフトで手間なく作成しよう

現金出納帳は会社のお金を管理するために重要な帳簿で、「会社の現金の流れを可視化する」「社内不正を防止する」といった役割を持つものです。事業で現金を扱っているなら、きちんと現金出納帳を作成する必要があります。現金出納帳は手書きやExcelでも作成が可能ですが、時間や手間がかかるうえ、計算ミスや転記漏れなどが起こってしまう恐れがあります。

現金出納帳を手間なく正確に作成するには、会計ソフトの導入がお勧めです。会計ソフトなら、テンプレートに沿って数字を入力するだけで、かんたんに現金出納帳が作成できます。会計ソフトを上手に活用し、効率良く現金出納帳を作成しましょう。

現金出納帳を手間なく作成したい方は、ぜひ弥生の「弥生会計 オンライン」をご利用ください。

よくあるご質問

現金出納帳とは?

現金出納帳は、日々の現金の出入りや残高を詳細にチェックするために作成する帳簿です。現金の入金または出金があるたびに「いつ・何のために・どこから(どこに)・いくら受け取った(支払った)」という取引内容の詳細を記載します。詳しくはこちらをご確認ください。

現金出納帳に書くべき記載項目は?

現金出納帳には、一般的に「日付」「勘定科目」「摘要(てきよう)」「入金」「出金」「残高」の6つの項目を記載します。詳しくはこちらをご確認ください。

現金出納帳は手書きで作成する必要がある?

現金出納帳は、手書き以外でも作成可能です。手書きで記帳をしていると、手間や時間がかかり、記入ミスや計算ミスがあると残高が合わず、確認作業に時間が取られてしまいます。そのため、会計ソフトを利用するなど、効率良く記帳を進めることをおすすめします。詳しくはこちらをご確認ください。

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この記事の監修税理士法人 MIRAI合同会計事務所

四谷と国分寺にオフィスのある税理士法人。税理士、社会保険労務士、行政書士等が在籍し確定申告の様々なご相談に対応可能。開業、法人設立の実績多数。
「知りたい!」を最優先に、一緒に問題点を紐解き未来に向けた会計をご提案。

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