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青色申告に必要な帳簿(複式簿記)のつけ方と帳簿・領収書の保存期間

監修者 : 宮原 裕一(税理士)

65万円(もしくは55万円)の控除を受けるには「複式簿記」による複数の帳簿作成が義務付けられています。

なかでも必要なのは「主要簿」と呼ばれる「仕訳帳」と「総勘定元帳」の2つ。さらに目的別に取引を管理するための「補助簿」と呼ばれる帳簿が6つほどあります。

これらの帳簿や領収書は、確定申告が終わっても捨ててはいけません。帳簿や取引書類の保存が義務付けられており、「税務調査」のときに書類がないと、青色申告を取り消されることもあります。

65万円/55万円控除を受けるには「複式簿記」による帳簿作成が必要

確定申告をする際、帳簿の作成が義務付けられています。「帳簿」とは、収入金額や必要経費に関する日々の取引の状況を記録する書類のことです。

この帳簿の付け方には、「単式簿記」と「複式簿記」という2つの方法があります。

単式簿記とは

単式簿記は1つの取引を1つの科目に絞って記録

単式簿記とは、ひとつの項目(簿記では「勘定科目(かんじょうかもく)」といいます)に絞って取引を記録・集計するだけの記帳方法のことをいいます。

例えば、

日付 勘定科目 金額
4月20日 水道光熱費 10,000
4月25日 売上 80,000
4月30日 通信費 5,000

のように記入していきます。

白色申告の場合、この単式簿記でかまいません。青色申告の場合は、単式簿記の場合、最大65万円/55万円特別控除は受けられません。最大10万円の特別控除になります。

複式簿記とは

複式簿記は1つの取引を複数の科目で記録

青色申告で最大65万円/55万円の特別控除を受けるためには、複式簿記で記帳する必要があります。複式簿記は、1回の取引を複数の科目で記録する記帳方法です。

取引には原因と結果があり、この2つの側面をきっちり記録しておくというのが、複式簿記の考え方です。たとえば12万円の会計ソフトを現金で購入したとすると、12万円の備品は増えますが(原因)、同時に現金12万円は減っています(結果)。この2つを同時に並べて記録しておくのが複式簿記です。左側を借方(かりかた)、右側を貸方(かしかた)といい、この左右の数字はトータルでは必ず一致します。

複式簿記で付けるべき帳簿は8種類

「所得税の青色申告承認申請書」では、「備付帳簿名」の欄で8種類の帳簿に○を付けました。この8つが複式簿記で使う帳簿です。下表で各帳簿の役割を簡単に説明しています。

補助簿

現金出納帳 現金の出入りをすべてまとめたもの
預金出納帳 銀行など口座上の取引をすべてまとめたもの
売掛帳 後払いで支払われる売上の取引をまとめたもの
買掛帳 後払いで支払う仕入れの取引をまとめたもの
経費帳 必要経費をすべてまとめたもの
固定資産台帳 減価償却する固定資産をまとめたもの

主要簿

仕訳帳 すべての取引を簿記の仕訳で日付順に並べたもの
総勘定元帳 仕訳帳の取引を種類ごとにまとめたもの

帳簿付けを手作業で行おうとすると、取引の種類ごとに適切な帳簿を選んで書き込まなければならず大変な労力を要します。

そこで導入したいのが、やよいの青色申告 オンライン」といった申告ソフトです。例えば、「やよいの青色申告 オンライン」には「かんたん取引入力」という便利な入力方法があり、「取引名」を選ぶだけで、自動的に適切な帳簿に記録されます。と同時に、他の帳簿にも自動で転記されるので手間いらずなのです。

単式簿記で付けるべき帳簿は6種類

青色申告特別控除10万円の場合や白色申告の場合、単式簿記で付ける必要があるのが、上図で紹介している6種類の「補助簿」です。

この補助簿に記録していくのですら大変な作業ですが、「やよいの青色申告 オンライン」「やよいの白色申告 オンライン」などの申告ソフトに取引入力をしていけば、自動で作成できるので面倒がありません。

65万円/55万円の青色申告特別控除を受けるのに必要なこと

①複式簿記で記録する

上記のとおり、複式簿記で6種類の「補助簿」と2種類の「主要簿」の8種類の帳簿を作成する必要があります。

②発生主義で記録する

最大65万円/55万円の青色申告特別控除を受けるには、「発生主義」で帳簿付けをします。「発生主義」とは、現金の動きがなくても、取引が発生した時点で記録する方法です。現金の動きに基づいて売上や経費の帳簿付けをする「現金主義」は、青色申告で所得の少ない場合のみ特例として認められます。

帳簿や領収書は一定期間保管する

確定申告が終わっても帳簿や領収書などを捨ててはいけません。

青色申告で使用したおもな帳簿書類は、法律で7年間の保存期間が定められています。
税務調査で帳簿を提示できないと、場合によっては青色申告を取り消されて青色申告の特典がなくなり、追徴課税を受けることもあります。

バックアップをまめにとり、クラウドのデータバックアップサービスがある場合は利用しましょう。
信頼できる会社がサービスを行っているクラウド申告ソフトであれば、データも安心安全な環境にあるので、安心ですね。

毎年の申告時には帳簿別に忘れずに印刷しておきましょう。普段は必要ないものなので、年度別にファイルに綴じるなどしてまとめてしまっておくといいでしょう。ただし、対象帳簿を電子帳簿保存をしている場合、対象期間の帳簿は、紙での印刷は不要です。

個人事業主でも利用できるスキャナ保存制度

スキャナ保存制度とは、日々の取引で発生する請求書や領収書といった紙の書類を電子データに変換して保存できるようにすることです。

スキャナやスマートフォンなどで読み取り、デジタル化したデータを一定の要件に従って保存することで、紙の書類は処分することができます。個人事業主も十分活用できますが、 ルールに従ってデジタルデータを準備し、適正な管理を行う必要があります。帳簿の電子帳簿保存とは、異なるので間違わないようにしましょう。

最大65万円の特別控除を受けるには

上記の「65万円/55万円の青色申告特別控除を受けるのに必要なこと」の3つを行えば、最大55万円の特別控除が受けられます。

しかし、最大65万の特別控除を受けるには、e-Taxを利用して確定申告書及び青色申告決算書を電子申告するか、電子帳簿保存(仕訳帳・総勘定元帳)※をすることが必要です。クラウド申告ソフト「やよいの青色申告 オンライン」は、e-Taxに対応しているので、直接e-Taxで電子申告することができます。パソコンにインストールするタイプの申告ソフト「やよいの青色申告 22」は、e-Taxも優良な電子帳簿保存も対応しています。

※2022年分の青色申告からは、優良な電子帳簿の要件を満たしている場合に、青色申告特別控除65万円が適用されます。「やよいの青色申告 オンライン」は、2022年分以降の電子帳簿保存では、「その他」(=優良以外の帳簿)に対応しています。

知っておきたい基礎知識|確定申告|まとめINDEX

  1. 今さら聞けない個人事業主の確定申告とは何か?
  2. 青色申告と白色申告の違いと節税効果について
  3. 青色申告ができる条件とできない条件
  4. 青色申告時に税務署に提出する2つの書類(青色申告決算書、確定申告書B)の書き方
  5. 青色申告の年間の流れと届出書類の入手先について
  6. 個人事業主のための開業・廃業等届出書の書き方と申請
  7. 個人事業主のための青色申告承認申請書の書き方
  8. 青色申告の専従者給与とは何か?家族に支払う給料を経費扱いにする方法
  9. 従業員を雇用するときの書類の書き方
  10. 青色申告のメリットと節税効果についてのまとめ
  11. 青色申告に必要な帳簿(複式簿記)のつけ方と帳簿・領収書の保存期間
  12. 個人事業主が個人用と事業用の口座を分けたほうがいい理由
  13. 個人事業主は必見!領収書&レシートの貰い方と整理の仕方
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